何が起きたか
2024年6月、KADOKAWAグループのデータセンター内のサーバーが、ランサムウェアを含むサイバー攻撃を受けました。ドワンゴが運営する「ニコニコ」関連サービスが停止し、出版事業の受注や物流、オンラインショップにも影響が広がりました。KADOKAWAの6月14日の発表/ドワンゴの6月14日の発表
その後、KADOKAWAはグループが保有する情報の外部漏えいを確認し、2024年8月5日時点の調査結果として個人情報254,241人分の漏えいを公表しました。これは「ニコニコ利用者254,241人分のログイン情報が漏えいした」という意味ではありません。KADOKAWAの8月5日の発表
被害と影響
ドワンゴによると、データセンター内の相当数の仮想マシン(サーバー上で動くコンピューター環境)が暗号化され、利用できなくなりました。「ニコニコ」のサービス全般と一部の社内業務システムを停止し、被害拡大を防ぐために関連サーバーの通信を切断して電源を落としました。ドワンゴの6月14日の発表
KADOKAWAは、紙の書籍の受注停止、生産量の減少と物流の遅延、複数のオンラインショップでの受注不能や出荷の一部遅延を発表しました。同時点では、刊行や支払いへの影響には見込み・可能性として示したものもあり、確定した被害とは分けて読む必要があります。KADOKAWAの6月14日の発表
情報漏えいについて: 6月14日の発表時点では調査中でした。6月28日には、公開された情報を同社が調べ、ドワンゴ関係者の個人情報や契約書など一部情報の漏えいを確認しました。8月5日には、取引先、従業員・元従業員、学校法人角川ドワンゴ学園の関係者などを含む個人情報合計254,241人分の外部漏えいを公表しました。6月14日の発表/6月28日の発表/8月5日の発表
一方、KADOKAWAは8月5日の発表で、ニコニコユーザーのログイン用メールアドレス・パスワードとクレジットカード情報について、ドワンゴからの漏えいは確認されていないと説明しています。漏えいが確認された情報の範囲と、確認されていない情報を混同しないことが大切です。KADOKAWAの8月5日の発表
出来事の時系列
| 日時 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年6月8日3時30分頃 | 複数のサーバーにアクセスできない障害が発生。攻撃や侵入の開始時刻ではありません。 |
| 同日8時頃 | ドワンゴが、ランサムウェアを含む攻撃が障害の原因と社内で確認。 |
| 6月9日 | KADOKAWAが初報を公表。この時点ではサイバー攻撃の「可能性が高い」という説明。 |
| 6月14日 | KADOKAWAとドワンゴがランサムウェアを含む攻撃を確認したと公表。情報漏えいは調査中。 |
| 6月28日 | KADOKAWAが一部情報の外部漏えいを確認したと公表。 |
| 8月5日 | KADOKAWAが、個人情報254,241人分の外部漏えいを確認したと公表。 |
日時と当時の確認状況は、6月9日の初報、KADOKAWAの6月14日の発表、ドワンゴの6月14日の発表、6月28日の発表、8月5日の発表に基づきます。
まだ分かっていないこと
参照した公式発表では、攻撃・侵入が始まった日時は確認できません。6月8日3時30分頃は障害が発生した時刻です。また、KADOKAWAは8月5日の発表で、従業員のアカウント情報がフィッシングなどで盗まれたことを根本原因と推測しつつ、具体的な経路と方法は不明と説明しています。このため、フィッシングを確認済みの攻撃手口としてこの記事には関連付けません。KADOKAWAの6月14日の発表/8月5日の発表「原因と対策」
9月11日には、攻撃者を名乗る組織が一部情報を追加公開したと主張したことについて、KADOKAWAが対応状況を発表しました。同社は新たな攻撃の痕跡を検知していないと説明し、追加調査を続けるとしています。そのため、上記の254,241人分は8月5日時点の確認数として扱います。KADOKAWAの9月11日の発表
この事例から分かること
この事例では、動画サービスに加えて、書籍の受注・物流やオンラインショップにも影響が及びました。ひとつの攻撃が、同じグループの複数のサービスや業務を止める場合があります。これは公表された影響から分かることであり、特定の対策を取っていればこの事件を防げたと断定するものではありません。KADOKAWAの6月14日の発表
漏えいが確認された人には、KADOKAWAが個別に通知し、専用窓口を案内しました。同社は漏えいした情報を悪用した不審なメールへの注意も呼びかけています。心当たりがある場合は同社の8月5日の発表で案内を確認してください。これは二次被害への備えであり、当初のランサムウェア攻撃を利用者が止める方法ではありません。