何が起きたか

2017年5月12日深夜、日立製作所は社内システムの一部に異常を検知しました。後の公式報告書によると、欧州の現地法人の検査機器から、ワーム型ランサムウェアWannaCryの感染が日立グループの社内ネットワークへ広がりました。5月12日は異常を検知した日で、最初の感染時刻を示すものではありません。2017年5月17日の発表/情報セキュリティ報告書2018・4ページ

被害と影響

社内システムの不具合により、5月15日以降、メールの送受信などに影響が出ました。日立は顧客や取引先への迷惑にも言及しています。5月17日時点でメールシステムは概ね復旧していましたが、全面復旧はその週の見込みとしており、完了を確認した発表ではありません。日立製作所の発表

後の公式報告書は、影響が工場の製造・生産システム、制御装置、倉庫システムなどにも及んだと説明しています。日立製作所の担当者も、生産・倉庫・入退室管理などの工場内システムが一時停止したと述べています。ただし、資料は工場の所在地や停止時間、製品の生産量・出荷への影響を特定していません。工場のシステム停止を、生産ラインそのものの停止や製品の出荷遅延と読み替えることはできません。情報セキュリティ報告書2018・4ページ/日立製作所の担当者インタビュー

日立製作所は5月17日、情報漏えいは確認されていないと説明しました。また、日立グループから送るメールによって顧客や社外へ被害が拡大することはないとしています。これは同日時点の発表内容であり、個々のシステム障害がなかったという意味ではありません。日立製作所の発表

対応と経過

日立グループは5月13日未明に対策チームを立ち上げ、被害状況の把握と復旧に着手しました。後の公式報告書は、ウイルス検疫とパッチ適用で感染機器を減らしたと説明しています。日立製作所の発表/情報セキュリティ報告書2018・4ページ

日付 出来事
2017年5月12日深夜 社内システムの一部で異常を検知。
5月13日未明 対策チームを立ち上げる。
5月15日以降 メールの送受信などに影響。
5月17日 被害と復旧状況を公表。メールシステムは概ね復旧と説明。

時系列は日立製作所の2017年5月17日発表に基づきます。

まだ分かっていないこと

参照した一次資料では、影響を受けた工場の所在地・数、一時停止の長さ、製品の生産や出荷への具体的な影響、個々のシステムの全面復旧日は確認できません。日立製作所の発表/担当者インタビュー

この事例から分かること

社内ネットワークでランサムウェアが広がると、メールだけでなく、工場の生産や倉庫を支えるシステムにも影響が及びます。日立の報告書は、ネットワーク構成の見直しと、停止しにくい機器を含むパッチ適用の重要性を教訓に挙げています。情報セキュリティ報告書2018・4~5ページ